って待っておいで。」
 庸三は少し手前で自動車をおりてから、門の前まで来ると、庸太郎と青年|権藤《ごんどう》に言った。門にさわってみると、戸はもう鎖《とざ》されていた。庸三は近所を憚《はばか》るように二三度|叩《たた》いてみたが返辞がないので少し苛々《いらいら》して来た。彼はいきなり戸の梁《はり》に手をかけると、器械体操で習練した身軽さで跳《と》びあがり、一跨《ひとまた》ぎに跨いで用心ぶかく内側へおりて行った。そんな早業《はやわざ》ができようとは今の今まで想像もしなかったし、しようとも思っていなかった。
「おい、おい。」
 庸三は暗い茶の間の窓の下から、袖垣《そでがき》で仕切られた庭の方へまわって、縁側の板戸ぎわに身を寄せて、そっと声をかけたが、やがて、葉子の声がして板戸が一枚繰りあけられた。そこから庸三は座敷へあがった。
「こんな遅くにやって来て失敬。」
 庸三はどかりと坐って、部屋を見まわしたが、別にかわったこともなかった。園田が今までそこらにいたらしい形迹《けいせき》もなかった。湯殿と物置きと台所口へ通じる廊下があるとしても、そこまで考える必要はなかった。
 葉子はどこか面窶《お
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