だんですがね。」
「ふむ、やっぱりね。」
庸三は来るべきものが来たのだと思った。
「じゃあ……今何時だい。汽車はまだあるね。」
「あります。」
「今夜のうちに話をつけてしまおう。これから行こう。」
庸三は性急《せっかち》に言い出した。
最近よく往復することになった横須賀《よこすか》行きのこの列車は、葉子と同伴の時も一人の時も、庸三にとって決して楽しいものではなかったが、今夜も彼はどこかせいせいしたような気分の底に、一脈の寂しさを包みきれないで、帯同した庸太郎と一人の青年と並んで暗黙《だんまり》でクッションに腰かけていた。乗客はいくらもなかった。
夜更《よふけ》の逗子の町は閑寂《ひっそり》していた。彼は、この挙動が何か心の余裕をもっているように見えて、その実|仮借《かしゃく》のないあさましいものだことに十分気がついていたが、思いのほか町の更けているのを見ると、一層それがはっきりするようで、内心来たことを悔いる心にもなっていた。むしろホテルで一泊して、明日のことにでもしようかと思ったのだったが、一旦行動に移された彼の荒い感情を抑制することは困難であった。
「お前はホテルで一部屋取
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