らちょっと立ち寄ったのだったが、庸三は一般ジャアナリストの外からの排撃と、葉子の事件に関して長男の態度にも反感をもっていた二男の、家庭の内部からの火の手のあがり初めて来た叛逆《はんぎゃく》との十字砲火を浴びながら、彼の社会的信用に大抵|見透《みとお》しをつけながらも、新らしい方嚮《ほうこう》を見出《みいだ》しかねている葉子からも離れかねていた。
ちょうどそのころ、彼はその海岸に住んでいるという、長男の同窓であるマルクス・ボオイの風貌《ふうぼう》をも、葉子のサルンでちょっと見る機会があった。宵のことであった。が、ホテルの撞球場《どうきゅうじょう》で遊んでいるその青年を、葉子は庸三と一緒に来ている長男の庸太郎に初めて紹介されて、その場ですぐ友達になってしまった。そしてホテルを出てから、家《うち》へ引っ張って来たのであった。鼻の隆《たか》い、色白の、上脊《うわぜい》のあるその青年は、例の電球二つを女の乳房《ちぶさ》のようにつけた仏蘭西製《フランスせい》のスタンドの、憂鬱な色をしたシェドの蔭《かげ》に、俛《うつむ》き加減に腰かけていたものだったが、奥の座敷にいた庸三は、葉子がその青年をつれて
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