でお茶を呑《の》んでいる二人を振り返った。
 庸三は手をふって見せた。
 小夜子とお玉さんの間に、仲間の独逸人の消息とか男女の関係とか、世間の噂話《うわさばなし》が交されていたが、するうち三人で銀座へ出ることになった。
 銀座でお玉さんは、行きつけの化粧品屋へ入って、ルウジュやクリイムなんかを取り出させて、あれこれと詮議《せんぎ》していたが、結局何も買わずに出てしまうと、今度は帽子屋の店へもちょっと入ってみた。何といってもつつましやかな暮しぶりらしく、物質を少しも無駄にしないというふうであった。長く銀座をぶらつくということもなく、主人の帰る時刻になると、じきに電車で帰って行った。
 そんな女たちを見ていると、庸三はいつもかえって葉子を想《おも》い出すだけだったが、ある日も書斎で独りぽつねんとしていると、小夜子がまた一人の別の女をつれて来た。いかにも押し出しのいい芳子《よしこ》というその女は、小夜子よりも少し若く、中高の美人型の顔で、黒い紋つきの羽織を着て、髪を水々した丸髷《まるまげ》にしていた。
「こちら先生のご近所よ。それにお国も同じだわね。」
 小夜子はそう言って紹介した。
「はは
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