る一方、マルキシズムの研究が流行しはじめ、プロレタリアの文学が到《いた》るところに気勢を挙げていて、何かあわただしい潮が渦《うず》をまいていた。
しばらく庸三は小夜子と、小夜子の仲好しの友達なぞと遊ぶ幾日かの昼や夜をもつことができた。
小夜子の仲間にも、いろいろの女がいた。家政婦に頼んだらどうかと言って、いつか小夜子が写真を見せてくれた女もその一人であった。小夜子と並んで歩いていると、むしろこの方が立派に見えることさえあったが、近よって話を交えてみると、げっそりするようなところもあった。笑うと出っ歯の齦《はぐき》の露出するのも気になったが、お品が悪くはないながらに口の利き方や気分に、どこか肥料《こやし》くさいようなところがあった。何かぎすついた粗硬な感じで、小夜子の言うように、田舎《いなか》では立派な財産家の奥さまであったらしい、品格もないことはなかったが、話題はいつも低級であった。庸三は時に小夜子の帳場で、お行儀よく坐っている彼女を見かけるのだったが、渋い作りの身装《みなり》もきちんとしていたが、ごつい金歯がひどく顔の感じを悪くしていた。
庸三は妻のある間は、どんな美しい女に
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