い人たちから何かを得ようと、神経を尖《とが》らせていた。去年の秋もたけなわなころ、まだ手術を思い立たない前の彼女をつれて、箱根までドライブしたことがあった。夜も大分遅くなって、痔《じ》に悩んでいた彼女はクションの上に半身を横たえてぐったりしていたが、九時ごろに宮の下のある旅館の前へ自動車を着けさせてみると、酒に酔った学生たちが多勢《おおぜい》、上がり口に溢《あふ》れていてわあわあ言っていたので、庸三はにわかに怖《お》じ気《け》づいて、いきなりステップを降りかけようとしてまたクションに納まろうとした。そして運転士に方向を指そうとした途端に、四五人の学生はすでに車の周《まわ》りを取りまいてしまった。
「××博士もいられます。あなたに遭《あ》いたいそうですから。」
押問答をしているうちに、一人の青年がそう言って庸三を勧説《かんぜい》した。彼は頑固《がんこ》に振り切るのも潔《いさぎよ》くないと思ったので、彼らの好意に委《まか》せることにした。彼らは不意に目の前に現われた二人を弥次《やじ》っていなかった。むしろその反対に「こんな恋愛を攻撃するのは封建思想ですよ。大いにおやんなさい」と言って、玄
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