問を発する庸三たちの方が、よほど可笑《おか》しいとでも思っているらしかった。葉子のところへ来る電話、葉子の方からかける電話――葉子が何をしているかは実際年の行かないお八重にも解《わか》るはずもなかったが、ほかに何か異性の友達があるくらいのことは解っていた。葉子は事によると、その異性との秘密を、傍《そば》にいるお八重にも打ち明けているのかもしれないのであった。
庸三は原稿紙やコムパクトや何かの入った袱紗包《ふくさづつ》みをもたせ、春雨のふる街《まち》を黒塗りの高下駄《たかげた》を穿《は》いて、円タクの流している処《ところ》まで、お八重に送らせて行った葉子の断髪にお六|櫛《ぐし》を挿《さ》した仇《あだ》な姿を、まざまざ目に浮かべながら、ちょっと見当もつきかねるのが、牴《もど》かしくも歯痒《はがゆ》くもあったが、この少女をそれ以上苦しめることは無駄であった。葉子がこの侍女を絶対安全な乾分《こぶん》に仕立てあげるのは、何の雑作《ぞうさ》もないことであった。
子供とK――青年とが、夜更《よふ》けの街へ何か食べに出てから、庸三は半病人のように病床に横たわった。そして軟《やわ》らかいパンヤの蒲団
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