連載物を書きつづけていたが、初めの意気込みほど人気は湧《わ》き立たなかった。もともと雑誌の方では、とかく世間の問題をおこしがちな彼女の過去現在の、好いにつけ悪いにつけ、何か花やかな雰囲気《ふんいき》を周囲に投げつつあるところに、ジャアナリステックな価値を見出《みいだ》そうとしたものであったが、一回二回と書かしてみると、思ったよりも好いので、一層|力瘤《ちからこぶ》を入れることにはなったが、庸三と取り組んでの恋愛事件がひどく世間の感情を害していた最中でもあったので、情熱的な彼女の作品も大向うから声はかからなかった。もちろん淡い夢のような作品その物にも、彼女独得の情熱と情緒《じょうしょ》がいかに溢《あふ》れていたにしても、一般に受ける性質のものではなかった。ちょうど社会批評家としてすでに一地歩を占めている、ある婦人の作品と並んでいたが、葉子はそれを自分の作品と読み比べてみて、何となく厭味《いやみ》で古いと思っていたし、少しは悪くも言ってみたいこともあった。
 無精な庸三のことなので、その作品に関して時々話をしかけられても、読んだのは一回きりで、解《わか》らないところを「これはどういうんだ」
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