たので、じきに病室を出た。
葉子が退院して来たのは、手術の日から四十日も経《た》ってからであった。もう二月の初めだったが、その間に彼女の二番目の女の子が感冒にかかって、肺炎になり損《そこな》い、それがやっとのことで癒《なお》ったかと思うと、今度は庸三の家《うち》で咲子が病床に就《つ》いていた。
庸三はその後も二度ばかり、夜になってから病室を見舞ったのであったが、二度とも好い印象を受けなかった。一度は師匠にあずけてある瑠美子の春着を作るために、デパアトの外廻りの店員を呼び寄せて、派手な友禅ものを、部屋一杯にひろげていたし、一度はベッドの上から手拍子を取って、いつもの童謡を謳《うた》いながら、瑠美子を踊らせていた。看護婦や宿直の若い医員だちを呼び集めて、陽気に騒いでいるのだったが、葉子は長い袖《そで》を牀《ゆか》まで垂らして、熔《と》けるような声で謳っていた。
庸三はどこでもそんなふうにしなければ治まらないらしい彼女を、苦々しく思わないわけに行かなかったが、それを言う日になれば、能弁な彼女の弁解も聴《き》かなければならなかった。
しかし退院して来てからの葉子には、そんな浮わついた
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