生活のために、弱い殉情そのものが無残に虐《しいた》げられているのだと思われてならなかった。いわば彼女の殉情と文学的情熱とは、現実の蜘蛛《くも》の巣にかかって悶《もだ》えている、美しい弱い蝶《ちょう》の翅《はね》のようなものであった。
「そんなに金を貰《もら》ってもいいのか。」
二百三百と、懐《ふとこ》ろがさびしくなると、性急に電報|為替《がわせ》などで金を取り寄せていることが、そのころにはだんだん露骨になって、見ている庸三も気が痛むのであった。
「いいのよ、有るところには有るものなのよ。」
「いや、もう大して無いという話だぜ。」
「ないようでも田舎《いなか》の身上《しんしょう》っていうものは、何か彼《か》か有るものなのよ。」
葉子は楽観していたが、送ってくれる金の受取とか礼状とかいったようなものも、なかなか書かないらしいので、庸三はそれも言っていた。
「だから私困るのよ。手紙を出すとなると、あの人が満足するように、いくらか艶《つや》っぽいことも書かなきゃならないし、書こうとすれば、先生の目はいつも光っているでしょう。」
そう言って葉子は苦笑していたが、わざと庸三の前で、達筆に書い
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