1−90−18、203−下−9]袍《どてら》も、不断着ているので少し汚《よご》れが見えて来たが、十一月もすでに半ば以上を過ぎても、彼女はまだ二階の奥の間に寝たり起きたりしていた。そのころになると、ガアゼの詰めかえも及ばなくなって、どうかすると彼女は痛さを紛らせるために、断髪の頭を振り立て、じだんだ踏んで部屋中|跳《と》びあるいた。彼女は間に合わせの塗り薬を用いて、いくらか痛みを緩和していた。庸三はしばしば彼女の傍《そば》に寝たが、ある夜彼は彼女の口から、秋本が見舞いがてら上京するということを聴《き》いた。
「あの人時々東京へ来るのよ。」
 葉子は気軽そうに言った。
「来てもほんの二三日よ。だけど、私お金もらってるから、一度だけ行かしてね。」
 それが病気見舞かと思われ、葉子の動静を探るためかと思われたが、葉子の様子に変りはなかった。
 その二階から見える庸三の庭では、焚火《たきび》の煙が毎日あがっていた。もう冬も少し深くなって、増築の部分の棟《むね》あげもすんでいた。彼はぜひとも家をどうにかしなければならない羽目になっていた。

      十一

 ある日の午後、葉子は庸三《ようぞう
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