わけであった。
 まだ態形も調《ととの》わない金座通りへ出てから、小夜子は円タクを拾って、神田駅のガアド下までと決めた。
 しかし一人ずつ二階へ呼びあげて占《み》るので、小夜子が占てもらう間、庸三は下でしばらく待っていた。そのうちに小夜子がおりて来た。占《うらな》わない前と表情に変りはなかった。やがて庸三も占てもらうことにした。
「合性は至極よろしい。しかしこの人は落ち着きませんね。よほど厳《きび》しく監督しないと、とかく問題が起こりやすい。」
 占者は言うのであった。葉子のことであった。
 そこを出ると、二人とも占いの結果については話す興味もなくて、少し通りをぶらついた果てに、二人で庸三の書斎へ帰ってみた。小夜子は紫檀《したん》の卓の前に坐って、雑誌など見ていたが、
「先生に私、何か書いていただきたいんですけれど。」
「書くけれど、僕のじゃ君んとこの部屋にうつらない。そのうち何かもって行って上げるよ。あれじゃ少し酷《ひど》いからね。追々取り換えるんだね。」
 それから彼女の家の建築の話に移って、譲り受けた時の値段や、ある部分は改築のある部分は新築の費用などの話も出た。
 庸三は燻《い
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