褞」のつくり、第3水準1−90−18、195−上−16]袍《どてら》姿で楊子《ようじ》を啣《くわ》えながら入って来る男があった。
「ああ、これだな。」
瞬間、庸三の六感が働いたが、それを見ると、いきなり小夜子はにやにやしながら、その男を連れ出してしまった。
それからまた三年も四年も経《た》って、彼は小夜子の二階の彼女の部屋で、その男ともしばしば花を引いたし、庸三の家《うち》へも遊びに来るようになったが、そのころには彼もかなりうらぶれた姿になって、見ちがえるほど更《ふ》けていた。そしてその時分になって、庸三はいろいろのことを知ることができた。ホン・クルベーの家から、彼女を引っ張り出したのも、かつては煮え湯を呑まされた彼の復讐《ふくしゅう》だったことも解った。
今、小夜子は彼との新生活に入るつもりで、場合によっては結婚もして本国へもつれて行くつもりでいるクルベーを振り切って出て来たのであったが、誘い出されてみると、まるで当てがはずれてしまった。現在の彼と一脈の新生活を初めるには、小夜子の生活は少し派手すぎていたし、趣味がバタくさかった。そこで小夜子は思いどおりに、こんな水商売を初めた
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