よ。それにお尻《しり》のところがひりひり刃物で突つくように痛んで、息が切れそうよ。」
「やっぱり痔瘻《じろう》だ。」
庸三にも痔瘻を手術した経験があるので、その痛みには十分同情できた。彼女はひいひい火焔《かえん》のような息をはずませていたが、痛みが堪えがたくなると、いきなり跳《は》ねあがるように起き直った。それでいけなくなると、蚊帳《かや》から出て、縁側に立ったり跪坐《しゃが》んだりした。
もちろんそれはその晩が初めての苦しみでもなかった。もう幾日も前から、肛門《こうもん》の痛みは気にしていたし、熱も少しは出ていたのであったが、見たところにわかに痔瘻とも判断できぬほど、やや地腫《じば》れのした、ぷつりとした小さな腫物《はれもの》であった。
「痔かも知れないね。」
彼は言っていた。その後も時々気にはしていたが、少しくらいの発熱があっても、二人の精神的な悩みの方が、深く内面的に喰《く》いこんでいたので、愛情も何かどろどろ滓《かす》のようなものが停滞していて、葉子の心にも受けきれないほど、彼の苛《さいな》み方も深刻であった。どうかすると彼女は妹に呼ばれて離れを出て、土間をわたって母屋《
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