烽ヘゆる上流社会の『慣例や礼儀』の大部分は説明し得られるであらう。さればこゝでは、経済的[#「経済的」に傍点]因素と並んで心理的[#「心理的」に傍点]因素がその地位を認められるわけである。但し非生産階級そのものは社会の経済的発達の産物たることを忘れては不可ない。即ち経済的因素は、その地位を心理的因素にゆづる場合にも、尚ほその卓越せる重要さを失はないことに留意しなければならぬ。此の場合には、それは他の諸因素の影響の可能性及び限界を規定する点において感知し得られるのである。」(「前掲書」一一三―一一四頁)
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プレハノフが、こゝで舞踏について言つてゐることは、完全に文学にもあてはまる(但し狩猟民族は文学をもつてゐないと考へねばならぬが)。しかしながら、プレハノフがこゝで述べてゐることだけは、複雑な社会に於ける文学と社会との相関関係を説明するには勿論不十分である。今日の文学は、否、古代の文学でさへも、少くも文学を有するほど発達した社会に於ける芸術作品は、たゞに直接に[#「直接に」に傍点]生産活動を再現してゐないのみならず、一般に、極めて高度にレフアインされた形に於いて
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