文学方法論
平林初之輔

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)或る作品を容《ゆる》したり、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)経験的事実[#「経験的事実」に傍点]とは何か?

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)めい/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)冷静(〔impassibilite'〕)との間には
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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         はしがき

 学としての文学、即ち、文学の理論が可能であるとすれば、従来多くの学者によりてなされたやうに、文学とか、芸術とか、乃至は美とかいふものゝ形式的定義から出発する代りに、先づ第一に、さういふ試みを抛擲して、純粋に経験的なもの、具体的なものから出発しなほさねばならぬ。
 このことは、従来の文学理論がもつてゐた一種の美しさ、深遠味、神秘的な色彩を奪つて、これに甚だしく粗笨
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