ん》した行爲かも知れない。人間以外の動物を輕侮して、そして虐待するクリスト及びクリスト教徒を攻撃する僕等の爲《す》ることとしては、或は矛盾した行爲かも知れない。雖然《けれども》僕等はピュリタンで無いことを承知して貰ひたい。僕は人間なんで、人間には矛盾の多いものだから、從ツて矛盾の行爲も敢《あへ》てするのさ。併し生體解剖が慘忍だといふならば、都《すべ》ての肉類を食ふ人は皆慘忍ぢやないか。況《ま》して僕等の先輩が、生物を善用して比較解剖をしたればこそ、成熟期に達した人間の女に月經があると同時に、猿の牝《めす》にも月經があるといふ、宇宙の一大事件が發見されたのぢやないか。」
と辯駁《べんばく》する。
要するに風早學士は、其の爲る仕事が變ツてゐるばかりで無い。人間も頗る變ツてゐて、世間でいふ變物であツたのだ。それで尚《いまだ》に妻も娶《めと》らず、こつ/\として自然哲學の爲に貢獻しようとしてゐる。一面からいふと、無味乾燥な、極めて沒趣味な生活をしてゐるものと謂はなければならぬ。彼の住《すま》ツてゐる家《うち》は、可成《かなり》廣いが、極めて陰氣な淋しい家で、何時の頃か首縊《くびくゝり》があ
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