解剖室
三島霜川
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)所謂《いはゆる》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)大分|破《こは》れ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、底本のページと行数)
(例)※[#木へんに「解」、第3水準1−86−22、223−中段10]《かし》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ゾロ/\
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これ、解剖學者に取ツては、一箇神聖なる物體である、今日解剖臺に据ゑられて、所謂《いはゆる》學術研究の材となる屍體は、美しい少女《をとめ》の夫《それ》であツた。此樣なことといふものは、妙に疾《はや》く夫から夫へとパツとするものだ、其《それ》と聞いて、此の解剖を見る級《クラス》の生徒の全《すべて》は、何んといふことは無く若い血を躍らせた。一ツは好奇心に誘《つ》られて、「美しい少女」といふことが強く彼等の心に響いたのだ。中には「萬歳」を叫ぶ剽輕者《へうきんもの》もあツて、大騷である。
軈《やが》て鈴《ベル》が鳴る、此の場合に於ける生徒等の耳は著《い
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