ードホルダーは、大阪の電気器具屋の八木氏? それから、もう一人大阪人があって、次に、私である。尤も、大阪から一人、妓《おんな》の為に、飛行機で通ってくるという噂があるから、もし、この二人が、そうだとしたなら、それは――いよいよ尊敬してもいい。だが、退屈によく似たもので、疎懶《そらい》というものの有るのは、大阪町人には判るまい。これは、恐らく、大阪のどっかの隅にあるべき筈で、私が、大阪へ戻ってきたなら、きっとそうなるにきまっている。だが金儲けとは反対であるから大阪人はきっと、彼奴変ってまんなで片付けるにちがい無い)。
 そして飛行機は木津川尻へ着くが、ここから大正橋までは退屈でもあるし、腹も立つし大阪軽蔑心も湧き出してくる。実になったあらへん所である。文化は道路に沿って起り舗装道路の上に立つというが(誰が云ったのか知らないがこういう言葉があったように思う。無かったとしたら、僕の造語だが中々うまいことをいう)、尖端的な飛行機発着場への道として――それは、道でなく、自然の土の上へ軌道を敷いただけのものである。
 処で、汽車の着く、梅田の駅頭も、その非文化的な上に於て、木津川よりも賑やかという
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