うにか成るわ、くよくよしなさんな、こっちが悲しいわ」
と、女房は取上げた新聞をもったまま、快活に云った。その内、一日、保高が
「読売新聞に一つ口があるが」
と、云ってきた。そして
「前田|晁《あきら》氏に逢うて、詳しい話をしてみないか」
と、晁氏の住所を教えてくれた。それで――何処であったか、郊外の晁氏の所へ行くと、二三、簡単な話があって、帰されてしまった。翌日、保高がきて
「君、いけないよ。応接の態度が、記者に適さんのだ、君、格子戸を開けて、首を突込んで、前田さんはと云っただろう」
私は、この時、我慢のならぬ不快さを感じた。その時出てきて、私が首を突込んだのを見たのは、晁氏でなかった。
(晁氏ならとにかく、嬶や女中が何んだ)
と、怒ったのである。
「それがいけないんだね」
「そうかなあ」
この座に、青野季吉が来ていて
「僕を紹介してくれないか」
と云った。青野が、読売へ入ったのは、この時である。そして、とうとう私は、一人だけ取残されてしまった。保高が、気の毒がって
「博文館へ話するから、談話筆記でもとらないか」
と、云ってくれた。それで、かかりの人に逢うと
「鎌田栄吉
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