事だとおもうが、そういう人に逢った事はない。
小中学で、本当に、智慧なり、人格なりに、影響を与えてもらった人だったろう。恐らく、親よりもなつかしいと思われるが、そうした教育者は少いらしい。
大阪という土地は、故郷という気のしない所であるし、小中大学に、学校のなつかしさの無い人生は、相当に淋しいものである。
私のように、その精力以上に、働いている者は、時として、故郷というような所で、深い安息を求めたい気がする。
私は、新居へ移ると共に、私の部屋へ引っ込んで、自分で炊事できるだけの道具――土釜、土鍋、七輪の類をととのえた。隠居の志が可成り、深い所に潜んでいるらしい。
何か一つ、ショックを受けたら、私のような人間――負けずぎらいで無理してきた人間は、一度に敗けて、田舎へ逃げるかもしれぬ。
こういう事が無くても、一人で飯を焚き、一人で暮らしている生活をしたい望をもっている。だが、私の係累《けいるい》は、ことごとく、私より若く、強い。矢張り、私は働きづめに死ぬのだろう。
三十三
私が早大を卒業――というのはおかしいが、クラスメートが卒業したので、私も遊びに行けなくなった
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