?
目下設備中
[#ここで字下げ終わり]
即ち、五千円の超過である。庭も、垣も、門もなくて、これである。月に割って、五百円――この外、小さいいろいろの物があるし、二三改めさせたから、四千八百円より高くなっているし、ざっと、一万二三千円であろう。
五百円ずつ余すつもりの所が、千円になっては、眼を剥く他はない。だから、大工さんに
「急がない、気長にやってくれ」
七年七月から建てかけて、八年の八月、何うにか住めるようになり、移ったのが、十一月の五日。
この家だけ貯金できた訳であるが、金が残るか、残らぬか、一寸、計算して見給え。八年度になって、月収二千円になると女房と別れなくてはならぬようになり、妾は出て行くし、収入は多くなった代りに、出る金も多くなった。
八月に出来て、十一月まで入れなかったのも、金の無い為である。諸道具一式女房にやったので、灰や、雑巾からして買わなくてはならぬ。一通り、道具を揃えるのに、二千円程かかっているから、何処で、金がたまるか? だから
「金は一文もないよ。入院したら、明日から食えない」
は、少しの偽りも無い言葉で、何処かの銀行で、僕の貯
前へ
次へ
全90ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
直木 三十五 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング