円(家賃百円、文藝春秋の倶楽部で、その頃は私が一切経費を出していた)、己の所が三百円(家賃は七十五円)、私の小遣、二三百円(交際費、貸金、旅費等々)として、建築費に廻るのが、五百円位の予算になった。
 四十七坪、坪百円だから、一年足らずで建つ、と思ったのが、そもそも大まちがいの因で、この建築費の外に
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スチールサッシュ        一八〇〇円
山の崩し賃            七〇〇円
昼間電気設備           八〇〇円
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 昼間電気位は来ていると私は思っていた。亀楽煎餅の別荘とか、佐分利公使の家とかがあるのだから、そんな事は考えていなかったら、こういうブルジョアめ、昼間電気無しでいたのである。私が、杉田から引っ張って来たら
「私の所へも、私の所へも」
 こ――これでないと、金はたまらない。
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急設電話            約八〇〇円
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 長者町局特別区域外で一町十八円ずつとられて、総額以上。
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配水、排水設備          七〇〇円?
温房設備      
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