は集る。菜葉《なっぱ》服が二大隊、これも御味方しよう。甲府城には、加藤|駿河《するが》の手で、三千人、それに、旗本を加えて、五千人は立所に揃うであろう。これで、一戦しようで無いか」
「然し、京都での、新撰組の勢力とはちがうから、吾々の下へ集ってくるのが――」
「それは、相当の役所になって、公方《くぼう》の命令という事にしよう。もし、公方の命令で集らなかったら、それは是非もない事だ」
二人は、帆綱の上へ、腰かけて話していた。金千代が
「せめて、甲府でなりと、手痛く戦いたいですが、今の人数の中へ御加え下さいませんか」
近藤は、頷いた。水夫達は、一生懸命に働いていたが、敗兵達は甲板で、煙草を喫ったり、笑ったりしていた。
二
近藤勇は、若年寄格。土方歳三が、寄合席。隊の名は、甲陽鎮撫隊。隊士一同、悉く、小十人格という事になった。
岩田金千代も、鈴木竜作も、裏金の陣笠《じんがさ》をもらって、新らしく入ってきた隊土に、戦争の経験談を話した。
「火縄銃の外、御前なんか、鉄砲を知らんだろう。長州征伐の負けたのも、その為だ。舶来鉄砲には、第一に三つぼんど筒というのがある。それから
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