近藤勇と科学
直木三十五
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)突《つん》のめされた
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)腹|這《ば》いに
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#改ページ]
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上篇ノ一
すぐ前に居た一人が突《つん》のめされたように、たたっと、よろめいて、双手で頭を抱えると、倒れてしまった。
「伏《ふ》せっ、伏せっ、伏せっ」
土方《ひじかた》は、つづけざまに、こう怒鳴《どな》って、大地《だいち》へ伏してしまった。
「畜生、やられた」
土方の頭の上で、人間の声というよりも、死神の叫びのような絶叫をしたので、振向くと、口から血の泡を流しながら渋沢が、槍《やり》を捨てて、鎧《よろい》の紐《ひも》を引きちぎろうとしていた。
「何《ど》うした?」
渋沢は、眼球を剥出《むきだ》して、顔中を痙攣《けいれん》させながら、膝《ひざ》を突いて、土方へ倒れかかった。土方が避けたので、打伏しに転《ころ》がると、動かなくなった。
「撃たれたらしいが、何処《どこ》を――」
と、思ったが見当がつかなかった。
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