、知れたものだけど、ロボさんのは無限よ。女性って、だんだん、その力を耐《こら》えて行く内に、男性なんか、つまんなくなってくるわ。でも、いい所も、人間にはあるわね。」
「じゃ[#「じゃ」は底本では「じや」]、僕とは――」
「………………………………。」
「二週間という約束でしたから、僕は――」
「憶えているわ。五時って。」
「それに――」
「五時二十分に来たでしょう。ロボさんなら、五時が、一つ、二つ打った時、ノックするわよ。」
「恋愛にさえ、ロボ助が、勝つようになっては、人類の最後ですね。」
「ええ、生殺与奪は、女性の手へ、戻ってきた訳ね。」
「そうらしいです。」
男は、立上った。そして、扉を開けて、次の部屋へ入った。その右側には、新らしい、レーヨンの色彩的な、日本的パジャマをきたロボットが、微笑《ほほえ》んでいた。男は、じっと、眺めて、
「ロボ助。」と、いった。
「は――」ロボが、答えた。
「奥さん、ロボ助っても、通じますね。」
夫人は、薄絹の下の、彩色した身体を、歩ませながら、
「ロボ、だけは通じます。」
「君は、夫人を、愛しているか。」
「は。」
男は、ロボの顔を凝視していた
前へ
次へ
全20ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
直木 三十五 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング