ってね。」
「そうかい。」
「じゃあ、…………一つ作って、売出すか。」
「君のような失恋家には、いいだろう。ロボットなら、反逆を企てないからね。」
「その代り、銀座でも、連れて歩いたら、何奴《どいつ》のも、皆、流行《はやり》女優の似顔をしていてうんざりするだろう。」
「僕は、美人の新型を作るよ。一方の眼が大きくて、一方が細いとか、前にも、後方《うしろ》にも顔があるとか――」
「とにかく、人間の女なんざあ、どの面も同じで、おもしろくねえってな事で、鼻の三つある奴を連れてさ。」
「ロボットなら、女房も、妬《や》くまい。」
「その代り、女房も、男のロボットを愛するから、いよいよ人類破滅期だね。」
「強制命令で、人工受胎をさせるさ。」
「差しずめ、僕のごときは、模範的××保持者だね。官報で、人選の発表があると、女が、群がってくる。」
「もう、よそう。俊太郎め、地下で、くしゃみしているだろう。」
「しかし、急激に変化するね。社会も、人間も――恐るべき、科学の力だ。」
六
「貴女は、僕よりも、ロボの方を、愛しているように見えますね。」
「犬を愛するように。」
「嫉妬じゃないですが――そ
前へ
次へ
全20ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
直木 三十五 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング