ボットが、成功したらしいね。」
「あれがね。」
「一尺四方ぐらいで、能率は、このロボットと同じくらいなんだろう。小さい車輪をつけて、合成軽金の支柱を建てると、荷物をつんで、走っても行くし、場所を指定して、距離メーターをかけておくと、一定の角へ行くと、曲りもするらしい。計った距離の所で、右へも、左へも向くんだね。だから、安全で、正確な使をする訳だ。」
「函《はこ》が、独りで歩いて行くのはいいね。」
「近代風景の一つさ。ロボット専用道路など出来て、人間が踏込むと、跳ね飛されたってね。」
「そういう時代になったね。」
「日本でも、電気自動車のタクシーは、大抵、ロボットに成るらしいね。」
「僕は、乗ったよ。五十銭入れると、扉を開けて――不便なのは、知らない所へ行けないだけだが、電気感触器が、出来て以来、絶対衝突の憂はないし――」
「ロボットを政府事業にして、一切の生産は、こいつにやらせるんだね。人間は、だから懐手をしていて、分配だけを受ける。」
「そう成るだろう、それ以外の方法では、失業者がふえるだけだ。」
「所が、君。」一人、が声を低くして、「このロボットは、君、…………………もっているんだ
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