男もある。お前さんの体位で、そんな弱い事を言つて居ては仕方がない。本当に一つ……遣つて見さつしやる気は無えかね。私ア、東京にも随分知つてる人も居るだて、一生懸命に為る積なら、いくらも世話は為て遣るだが」
「難有《ありがた》い、さう仰《おつしや》つて下さる人は、貴郎ばかり。決して……決して」と重右衛門は言葉を涙につかへさせながら、「決して忘れない、この御厚恩は! けれど私ア、駄目でごす。体格《からだ》さへかうでなければ、今までこんなにして村にまご/\して居るんぢや御座《ごア》せんが……。私は駄目でごす……」
と又涙をほろ/\と落した。
これは貞七の後での話だが実際その時は気の毒に為つて、あんな弱い憐れむべき者を村では何故《なぜ》あのやうに虐待するのであらう。元はと言へば気ばかり有つて、体が自由にならぬから、それで彼様《あん》な自暴自棄《やけ》な真似を為《す》るのであるのに……と心から同情を表《へう》さずには居られなかつたといふ事だ。実際、重右衛門だとて、人間だから、今のやうな乱暴を働いても、元はその位のやさしい処があつたかも知れない。けれどその体の先天的不備がその根本の悪の幾分を形造
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