つたら、奴め、莞爾《にこ/\》と笑つて居やがる。背中を一つ喰はせて遣ると、いひ[#「いひ」に傍点]/\/\と笑やがつたが、其笑ひ様つて言つたら、そりや形容《かたち》にも話にも出来ねえだ。本当に、私あ、随分人を湯田中に連れて行つたが、重右の奴ぐらゐ、手数《てかず》の懸《かゝ》つたのは無え」
と高く笑つて、
「それにしても、考へると、可笑《をかし》くつてなんねえだよ。あの大《でか》い睾丸を拘へてよ、それで姫ツ子を自由に為《し》ようつて言んだから、こいつは中々骨が折れるあ!」
と言ふのが例だ。
で、其からといふものは、重右衛門は好く湯田中に出懸けて行つたが、金を費《つか》ふ割に余りちやほやされないので、つねに悒々《おふ/\》として楽しまなかつたといふ事である。
其中には段々家は失敗に失敗を重ねて、祖父が一人真面目に心配して居るけれど、さてそれを何うする事も出来ず田地は益々人手に渡つて、祖父の死んだ時(それは丁度重右衛門が二十二の時であつた)にはもう田畠《でんばた》合せて一町歩位しか無かつたとの話だ。ことに、その祖父の死ぬ時に一つの悲しい話がある。それは、其頃重右衛門は湯田中に深く陥《
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