》か人魂《ひとだま》か。
さうじやない/\。母《かヽ》さんの
点《つ》けさしやんした雪洞《ぼんぼり》が
風《かぜ》に吹《ふか》れてゐるわいな。
(ねんねしなされ。まだ夜《よ》は夜中《よなか》
明《あけ》りやお寺《てら》の鐘《かね》がなぁる。)
山《やま》のうへをばふわ/\飛《と》ぶは
鳥《とり》か獣《けもの》か三《み》ヶ|月《づき》か。
さうじやない/\。母《かヽ》さんの
小袖《こそで》に染《そ》めた牡丹《ぼたん》の花《はな》が
雨《あめ》に降《ふ》られてゐるわいな。
[#改ページ]
文《ふみ》
雲《くも》に別《わか》れて野《の》に降《お》りし
雨《あめ》のこヽろのやるせなさ
思《おも》ひまゐらせ候《そろ》※[#「まいらせそろ」の草書体文字、コマ22−左−4]
空《そら》になげたる彩文《いろぶみ》は
森《もり》にかヽりし虹《にじ》かいな。
[#改ページ]
芝居《しばゐ》ごと
雪《ゆき》の降《ふ》る夜《よ》のかなしさに
姉《あね》の小袖《こそで》をそと被《か》つぎ
「……でんちうじや、はりひぢじや
島《しま》さん、紺《こん》さん、なかのりさん……」
踊《おど》りくたびれ
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