「袖萩《そではぎ》」の
肩《かた》に小袖《こそで》をうちかけて
涙《なみだ》ながらの 芝居事《しばゐごと》
「寒《さむ》かろうとて着《き》せまする」

このまあつもる雪《ゆき》わいの。
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 折鶴《をりづる》

行灯《あんど》のかげにとつおいつ
娘《むすめ》ごころの羞《はつか》しや
何《なん》と答《こたへ》もしら紙《かみ》の
膝《ひざ》のうへにて鶴《つる》を折《を》る。
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 青《あを》い窓《まど》

隣《となり》のとなさん、何処《どこ》へいた。
向《むか》ふのお山《やま》へ花摘《はなつ》みに
露草《つゆくさ》 つら/\月見草《つきみぐさ》。
  一|枝《えだ》折《お》れば、ぱっと散《ち》る
  二|枝《えだ》折《お》れば、ぱっと散《ち》る
  三|枝《えだ》がさきに日《ひ》が暮《く》れて

東《ひがし》の紺屋《こうや》へ宿《やど》とろか、
南《みなみ》の紺屋《こうや》へ宿《やど》とろか。
東《ひがし》の紺屋《こうや》は赤《あか》い窓《まど》、
南《みなみ》の紺屋《こうや》は青《あを》い窓《まど》。
  南《みなみ》の紺屋《こうや》へ宿《やど》とれば、
  
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