わが身《み》につまされて
ほろりほろりと泣《な》いてゆく。
[#改ページ]
白《しろ》い薬《くすり》
黄《きい》な袋《ふくろ》のセメンエン
熱《ねつ》ある舌《した》にしみる時《とき》。
暗《くら》い空《そら》から雪《ゆき》が降《ふ》る。
炬燵《こたつ》の上《うへ》の黒猫《くろねこ》の
青《あを》い瞳《みとみ》の光《ひか》る時《とき》。
柩《ひつぎ》の屋根《やね》へ雨《あめ》が降《ふ》る。
[#改ページ]
街《まち》の五月《ごぐわつ》
……チン ツン くどけば なぁびく
チツツン ツントン 相生《あひおひ》の松《まあつ》……
口三味線《くちさみせん》の足拍子《あしびやうし》
空気草履《くうきざうり》の柔《やわら》かさ。
肩《かた》のうへでは花色《はないろ》の
日傘《ひがさ》がまわる絵《ゑ》がまわる。
……またいついつもの約束《やくそく》の チンツン
日《ひ》をまつ 時《とき》まつ 暮《くれ》をまあつ……
[#改ページ]
越後《ゑちご》の山《やま》
角兵衛獅子《かくべいじヽ》の悲《かな》しさは
親《おや》が太鼓《たいこ》打《う》ちや、子《こ》が踊《お
前へ
次へ
全9ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング