くまで迯《に》げのびたが、藪《やぶ》のかげでその美《うつ》くしい角《つの》めが笹《さヽ》に引掛《ひつか》かつてとう/\猟人《かりうど》につかまつたとさ。
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ライオン

太郎《たらう》は、エソップのなかの、或時《あるとき》ライオンが一疋《いつぴき》の鼠《ねづみ》を捕《と》つたら、鼠《ねづみ》が「おぢさんわたいのやうな小《ち》いさなものをいぢめたつてあなたの手柄《てがら》にもなりますまい」つて言《い》つたらライオンは「ハヽヽヽなるほどさうだ」つて許《ゆる》してやつた。するとある時《とき》、ライオンが猟人《かりうど》に捕《つかま》つて縛《しば》られたとこへ例《れい》の鼠《ねづみ》が来《き》て「おぢさん、待《ま》つといで」と言《い》つて縛《しば》つた縄《なわ》を噛切《かみき》つてやりました。つていふ噺《はなし》を思出《おもひだ》して「おぢさん、ライオンは馴《なれ》たら鼠《ねづみ》でも喰《く》ひませんか」と動物園《どうぶつゑん》のおぢさんに聞《き》きました。すると、おぢさんの答《こたへ》はこうでした「すぐ喰《く》つちまふ」
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だてう

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