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太郎「だてふはいつも立《た》つてばかりゐますが、夜《よる》ねる時《とき》でも立《たつ》てますか」
動物園のおぢさん「夜《よる》はやつぱりしやがんで眠《ねむ》ります」
太郎「象《ざう》は立《た》つて眠《ね》るんでせう」
おぢさん「い※[#二の字点、1−2−22]へ象《ざう》もすわつて寝《ね》ます」
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かば

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太郎「おぢさん河馬《かば》は汚《きたな》いね※[#「江」のくずし字、コマ23−右−1]」
おぢさん「なぜさ」
太郎「だつて皮《かは》の穴《あな》からなんだか赤《あか》い汁《しる》が出《で》るんだもの」
おぢさん「でもあの汁《しる》がすきな鳥《とり》があるとさ。その鳥《とり》が来《く》ると河馬《かば》はじつとして、あの毛穴《けあな》の中《なか》の黴菌《ばいきん》を鳥《とり》がとつてくれるのをまつてゐるんだつてさ。それがその鳥《とり》の食物《しよくもつ》なのさ」
太郎「汚《きたな》い鳥《とり》だなあ、なんていふ名《な》」
おぢさん「知《し》らない」
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