がられて幸福《しあはせ》といふものさ」
斑猫「あらまあ、あんなことを、おなじ猫《ねこ》でも女《をんな》になんぞ生《うま》れてはつまりませんわ」
黒猫「どうしてなか/\、私《わたし》なんざあ、自分《じぶん》で自分《じぶん》の糊口《くちすぎ》をしなきやあならないんですからやりきれやせんや」
斑猫「それだから結構《けつこう》ですわ。夜《よる》なんかでも、あなたは毛色《けいろ》がお黒《くろ》いから鼻《はな》の頭《あたま》へ御飯粒《ごはんつぶ》をくつつけて口《くち》をあいてゐれば鼠《ねづ》さんは黒《くろ》い所《ところ》に白《しろ》いものがあるので喜《よろ》こんで食《た》べに来《く》ると食《た》べられるつていふぢやございませんか。そんなことはとても私《わたし》たちには出来《でき》ませんわ」
[#ここで字下げ終わり]
[#改ページ]
べにすヾめ
雪《ゆき》の降《ふ》る日《ひ》は
べにす※[#濁点付きの二の字点、コマ10−右−2]め
紅《あか》い木《こ》の実《み》が
たべたさに
そつと出《で》て見《み》る
いぢらしさ。
[#改ページ]
きつね
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
太郎
前へ
次へ
全15ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング