「おぢさん狐《きつね》は化《ばか》しませんか」
動物園のおぢさん「私《わたし》はまだ化《ばか》された事《こと》はない」
太郎「おぢさん、この狐《きつね》は雄《をす》と雌《めす》ですか」
おぢさん「さうです」
太郎「それぢや、狐《きつね》のお嫁入《よめいり》の時《とき》雨《あめ》が降《ふ》りましたか」
おぢさん「この狐《きつね》たちは動物園《どうぶつゑん》へ来《く》るまへにもう嫁《よめ》いりしたのです」
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ぞう

何時《いつ》来《き》て見《み》ても
泣《な》いてゐる。
何《なに》が悲《かな》しゆて
お泣《な》きやるぞ。
悲《かな》しいことはないけれど
生《うま》れ故郷《こけう》が
なつかしい。
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はと

………たべてもすぐにかへらずに
   ぽつぽぽつぽとないて遊《あそ》べ………

………いつしよに遊《あそ》ぼとおもへども
   下駄《げた》や足駄《あしだ》の坊《ぼつ》ちやんに
   足《あし》を踏《ふ》まれて痛《いた》いゆへ
   屋根《やね》のうへから見《み》てゐましよ………
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さる

一|疋《ぴき》の小猿《こ
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