さんは叱《しか》らないんですか」
おぢさん「虎《とら》がおまはりさんを叱《しか》ります」
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はくてう
驚《おどろ》きやすい白鳥《はくてう》よ。
何《なに》をそんなにおどろいて鳴《な》くのだ。
青《あほ》い澄《す》んだ空《そら》には何《なに》[#「何」は底本では「河」]もないではないか。
白《しろ》く淀《よど》んだ沼《ぬま》には何《なに》もゐはしないではないか。
いえ/\。青《あほ》い空《そら》を
あれ、あんな化物雲《ばけものくも》がとびます。
深《ふか》い水《みづ》の底《そこ》に、
あれ、あんな虫《むし》が匐《は》ひまわつてゐます。
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くま
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太郎「おぢさん熊《くま》が手《て》を合《あは》せて拝《おが》んでるよ」
おぢさん「は※[#二の字点、1−2−22]あ、可憐《かあい》いものだなあ。動物園《どうぶつゑん》の中《なか》でも夜《よる》なんか熊《くま》が一番《いちばん》よく眠《ねむ》るつてね、嚊声《いびきごゑ》が不忍池《しのばずのいけ》まで聞《きこ》へるつてさ」[#「てさ」」は底本
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