し》のかなしさは
親《おや》が太鼓《たいこ》うちや子《こ》がおどる。
股《また》のしたから峠《たうげ》をみれば
もしや越後《ゑちご》の山かとおもひ
泣いてたもれなともどもに。

角兵衛《かくべゑ》獅子《じし》の身《み》のつらさ。
輪廻《りんね》はめぐる小車《をぐるま》の
蜻蛉《とんぼ》がへりの日《ひ》もくれて
旅籠《やど》をとろにも銭《ぜに》はなし
あひの土山《つちやま》あめがふる。
[#改丁、挿し絵入る、25]
[#改丁]

 赤い木の実

雪《ゆき》のふる日に小兎《こうさぎ》は
あかい木《こ》の実《み》がたべたさに
親《おや》のねたまに山《やま》をいで
城《しろ》の門《もん》まできはきたが
あかい木《こ》の実《み》はみえもせず
路《みち》はわからず日はくれる
ながい廊下《らうか》の窓《まど》のした
なにやら赤いものがある
そつとしのむできてみれば
こは姫君《ひめぎみ》のかんざしの
珊瑚《さんご》のたまかはつかしや
たべてよいやらわるいやら
兎《うさぎ》はかなしくなりました。
[#改ページ]

 鐘

村で名代《なだい》の鐘撞《かねつき》男《をとこ》
月がよいのでうかうかと
鐘《かね
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