び》をむすびて「マリヤさま
ゆめゆめうそはいひませぬ」
おさなききみはかくいひて
涙うかべぬ。しみじみと
雨はふたりのうへにふる
またスノウドロツプの花びらに。
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紡 車
しろくねむたき春の昼
しづかにめぐる紡車《いとぐるま》。
をうなの指をでる糸は
しろくかなしきゆめのいと
をうなの唄《うた》ふその歌は
とほくいとしきこひのうた。
たゆまずめぐる紡車《いとぐるま》
もつれてめぐる夢《ゆめ》と歌《うた》。
[#改丁、挿し絵入る、19]
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人 買
秋のいり日はあかあかと
蜻蛉《とんぼ》とびゆくかはたれに
塀《へい》のかげから青《あを》頭巾《づきん》。
「やれ人買《ひとかひ》ぢや人買《ひとかひ》ぢや
どこへにげようぞかくれうぞ」
赤い蜻蛉《とんぼ》がとびまはる。
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六地蔵
背合《せなかあはせ》の六《ろく》地蔵《ぢざう》
としつきともにすみながら
ついぞ顔《かほ》みたこともない。
でもまあ苦《く》にもならぬやら
いつきてみても年《とし》とらず
赤くはげたる涎掛《よだれかけ》。
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越後獅子
角兵衛《かくべゑ》獅子《じ
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