[#改ページ]
うしなひしもの
夏の祭《まつり》のゆふべより
うしなひしものもとめるとて
紅提燈《べにちやうちん》に灯《ひ》をつけて
きみはなくなくさまよひぬ。
[#改ページ]
芝居事
雪のふる夜のつれづれに
※[#「※」は「女へん+弟の下半分のような字」、123−5]《あね》の小袖《こそで》をそとかつぎ
‥‥‥でんちうぢやはりひじぢや
しまさんこんさんなかのりさん‥‥
おどりくたびれ袖萩《そではぎ》の
肩に小袖をうちかけて
なみだながらの芝居事《しばゐごと》
「さむかろうとてきせまする」
このまあつもる雪わいの。
[#改丁、挿し絵入る、125]
[#改丁]
花束
ありのすさびに
花をつみてつがねたれど
おくらむひともなければ
こころいとしづかなり。
されどなほすてもかねつつ
ゆふべの鐘《かね》をかぞへぬ。
[#改ページ]
たそがれ
たそがれなりき。かなしさを
そでにおさへてたちよれば
カリンの花のほろほろと
髪《かみ》にこぼれてにほひけり。
たそがれなりき。路《みち》をきく
まだうら若き旅人《たびびと》の
眉《まゆ》の黒子《ほくろ》のなつかしく
後姿《うし
前へ
次へ
全24ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング