きあげぬ。
「死《し》んだ死んだ」と踊《をど》りつつ
忠太は村をふれあるく。
白い衣《きぬ》きた葬輦《さうれん》が
暑い日中《ひなか》をしくしくと
鳥辺《とりべ》の山へいりしかど
そは何事《なにごと》かしらざりき。
ひとりは墓《はか》へゆきければ
七《なゝ》つの指《ゆび》を六《む》つおりて
一《ひと》つのこしてみたれども
死んでなくなることかいな
いつか墓よりかへりきて
七つの桃《もゝ》をわけようもの。
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猿と蟹
わたしが猿《さる》で妹《いもうと》が
あはれな蟹《かに》でありました。
猿はひとりで※[#「※」は「木へん+弟の下半分のような字」、104−7]《かき》の実を
木に腰《こし》かけてたべました。
「兄《にい》さんひとつ頂戴《ちやうだい》よ」
あはれな蟹がいひました。
「これでもやろ」と渋※[#「※」は4行上の「かき」と同じ字、105−1]《しぶがき》を
なげてはみたがかあいそで
好《い》いのもたんとやりました。
[#改ページ]
加藤清正
紙の鎧《よろひ》の清正《きよまさ》は
虎《とら》を退治《たいぢ》の竹《たけ》の槍《やり》。
屋根《やね》のうへにて
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