《いうびん》ほい
おかみの御用でゑっさっさ」
郵便|脚夫《きやくふ》のうしろから
学校がへりの子供らは
ゑっさもっさとついてゆく。
「郵便ほい
おかみの御用でもっさっさ」
[#改ページ]

 江戸見物

「江戸《えど》をみせよう」源六《げんろく》は
耳をつまんでつりあげた。
いたさこらへて東《ひがし》をみれど
どれが江戸やら山ばかり。
「なんとみえたであらうがな」
「みえはみえたが浅草《あさくさ》も
上野《うへの》もやつぱり山だらけ」
[#改丁、挿し絵入る、99]
[#改丁]

 七つの桃

七人《しちにん》の
遊《あそび》仲間《なかま》のそのひとり
水におぼれてながれけむ。
お芥子《けし》の頭《かみ》が水《みづ》の面《も》に
うきつしづみつみえかくれ。
「よくも死人《しにん》をまねたり」と
白痴《ばか》の忠太《ちゆうた》は手をたたく。
水《みづ》にもぐりて菱《ひし》の実《み》を
とりにゆけるとおもひしが。
人《ひと》は家《いへ》より畑《はたけ》より
ただごとならぬけはひにて
はしりて河《かは》にあつまりぬ。
人のひとりは水にいり
人のひとりは小舟《こぶね》より
死骸《しがひ》を岸にだ
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