されて「やれやれ」と
財布をとつてくれました。
それから家《うち》へかへつたが
どうも財布が気にかかり
母の情《なさけ》の草餅《くさもち》も
どうまあ咽喉《のど》をこすものぞ
食べずに泣いておりました。
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嘘
なげた石
鳥居《とりゐ》のうへにのつかれば
どんな願《ねがひ》もかなへんと
氏神《うぢがみ》様《さま》はのたまひぬ。
鳥居のしたにあつまりし
太郎《たらう》に次郎《じらう》に草之助《さうのすけ》
何《なに》がほしいときいたらば
太郎がいふには犬張子《いぬはりこ》
次郎がいふにはぶんまはし
生《い》きた馬をば草之助。
願《ねがひ》をこめてなげた石
首尾《しゆび》よく鳥居へのつかつた。
石は鳥居へのつたれど
いまだに何《なに》もくださらぬ。
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どんたく
どんたくぢやどんたくぢや
けふは朝からどんたくぢや。
街《まち》の角《かど》では早起きの
飴屋《あめや》の太鼓《たいこ》がなつてゐる
「あアこりやこりやきたわいな」
これは九州《きうしう》長崎《ながさき》の
丸山《まるやま》名物《めいぶつ》ぢやがら糖《たう》
お子様《こさま》がたのお眼《
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