土《あかつち》色《いろ》の山路《やまみち》を
とぼとぼあゆむ午下《ひるさが》り。
あゆみつかれて路《みち》ばたの
一本松に腰かけて
虎屋《とらや》饅頭《まんじゆう》をたべながら
やすむでゐると木蔭《こかげ》より
髯武者《ひげむしや》面《づら》の山賊《さんぞく》が
ぬつくとばかりあらはれた。
すわことなりとおもへども
どうすることもなきごえに
「おつつけ伴者《つれ》のくる時刻《じぶん》」
きこえよがしに※[#「※」は15行上の「あね」と同じ字、82−1]《あね》のいふ
「どうして伴者《つれ》はくることか」
わたしは※[#「※」は17行上の「あね」と同じ字、82−3]《あね》にききました。
さうするうちに山賊《さんぞく》は
腰《こし》の太刀《だんびら》おつとりて
のそりのそりとやつてきた。
もう殺すかとおもふたら
殺しもせいでたちとまり
「どこへおじやる」ときくゆゑに
つつみかくさずいひますと
「よいお子《こ》たち」とほめながら
峠《たうげ》をおりてゆきました。
乳母《ばあや》はきいて大笑ひ
「なんの賊《ぞく》などでませうぞ」
それは木樵《きこり》でありました。
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