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アルテモフスキイ・グラーク ピョートル・ペトロー※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83](1791―1853)小露西亜の詩人。
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「ひよつと、どうかして、お前《めえ》、ほんとになんぞちよろまかしたんぢやあねえかい?」かう、教父と一緒に繋がれて、藁葺き小舎の中で横になつたまま、チェレ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ークが訊ねた。
「お前《めえ》までがそんなことを言ふのかい、兄弟? お袋の眼を盗んで、酸乳脂《スメターナ》をつけた肉入団子《ワレーニキ》を摘んだことよりほかに――それもおいらが十歳《とうを》ぐれえの時の話だが――それよりほかに、つひぞ他人《ひと》さまの物に手をかけたことがあつたら、この手足が干からびてしまつてもええだよ。」
「ぢやあ、なんだつておれたちあこんな酷い目に会ふだね? お前はまだしものことよ、ともかく他人《ひと》の物を盗つたつちふ言ひがかりを受けとるだから。ところが、おいらくれえ不仕合せな者があるだらうか、われとわが牝馬を盗んだなんちふ性《たち》の悪い言ひがかりをされてさ? 屹度こ
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