弧、1−2−54]これはまた、もう一つ吃驚するて、実にどうも、きれいな細工つたらないよ。これあなんだな、みんな独逸の鍛冶屋が、費用かまはずにやつてのけた仕事に違ひない……。※[#終わり二重括弧、1−2−55]
金モールをつけた従僕が彼の腕を小突いて、他の同行者たちに遅れないやうにと注意しなかつたら、恐らく鍛冶屋はもつともつと鑑賞に耽つてゐたことだらう。ザポロージェ人の一行は更に二つの大広間を通り過ぎてから立ちどまつた。そこで待つてゐるやうにといふ指図だつたのである。その大広間には、金ピカの刺繍《ぬひ》を施こした軍服を著た将軍が幾人も集まつてゐた。ザポロージェ人たちは四方八方へペコペコとお辞儀をした。そして一と塊りになつて立つてゐた。
一瞬間の後、でつぷりと肥満《ふと》つた、背丈の堂々たる人物が、哥薩克大総帥の制服に黄色い長靴といふ扮装《いでたち》で、大勢の随員をしたがへて現はれた。彼の頭髪はもぢやもぢやに乱れ、片方の眼が少しやぶにらみで、いつたいにその顔つきには、どことなく驕慢不遜の色が現はれ、すべての動作《ものごし》に命令的な癖が見られた。それまでかなり横柄に振舞つてゐた、金ピカ
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