ながら、びくびくして一同の後に従つた。さういふ大広間を三つも横切つたが、鍛冶屋は相も変らず仰天しつづけてゐた。四つ目の大広間へ入ると彼は、そこの壁に懸つてゐた額面へ、我を忘れて近寄つた。それは童児基督を抱いた聖母の像であつた。
※[#始め二重括弧、1−2−54]何といふ絵だらう! 実に素晴らしい画像だ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、彼は心の中で感歎した。※[#始め二重括弧、1−2−54]今にもほんとに物を言ひさうだ! まるで生きてゐるやうだよ! それにこの神の御子はどうだい! 手を抑へて、にこにこしてるよ、いぢらしい! だが、この顔料《ゑのぐ》はどうだ! ほんとにおつ魂消るやうな顔料《ゑのぐ》だ! 茲にやあ泥絵具なんてこれつぽちもつかつちやあない、これはみんな上等の羣青や朱だ。それにこの空色はどうだい、まるで燃えるやうぢやないか! 大したもんだ! 屹度、飛び切り極上の胡粉で下塗りがしてあるんだらうな。だが、この彩色にもおつ魂消るけれど、この銅《あか》の把手と来ちやあ、※[#終わり二重括弧、1−2−55]さう言ひながら彼は扉に近づいて、錠前に触つて見るのだつた。※[#始め二重括
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