も勿体らしい表情が浮かんだ。「わしたちはな、同胞《きやうだい》、その、陛下に自分たちのことでいろいろ奏上せねばならんのぢやから。」
「お供をさせて下さいよ!」と、鍛冶屋は言ひ張つた。そして拳で衣嚢《かくし》を叩きながら、そつと悪魔に囁やいた。※[#始め二重括弧、1−2−54]承知させて呉れ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]
彼がさう言ふか言はないに、もう一人の方のザポロージェ人が、「まあ、いいから伴れて行つてやらうではないか、同胞《きやうだい》!」と、とりなした。
「さうよ、伴れて行かうよ!」と、他の一同も声を揃へて言つた。
「ぢやあ、わしたちとおんなじ衣裳をつけるがよい。」
鍛冶屋が大急ぎで草いろの長上衣《ジュパーン》を身につけた時、不意に扉があいて、金モールをつけた迎への役人が入つて来て、参内の時刻だと告げた。
大きな箱馬車に乗つて、弾機《ばね》に揺られながら出かけると、またしても鍛冶屋の眼にはあらゆる珍らしい光景が映りだした。両側の四階だての家並がずんずん、後へ後へと駈け去り、鋪石道《しきいしみち》はがらがらと轟ろきながら、ひとりでに馬の足もとへ、前方から驀進して来るや
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