でもあつたし、それに、前にもちよつと述べたやうに、実際、彼は識者らしい言葉づかひを知つてゐたので、「名にしおふ首府《みやこ》ですからね!」と、澄まして応じた。「何とも言葉はありませんて、建物は宏荘ですし、立派な絵は到るところに懸つてをりますし。それにおつそろしく金箔をつかつた文字をベタ一面に書きつらねた家が無性にあるぢやありませんか。何とも言ひやうの無い、素晴らしい均斉美といふやつで!」
こんな風に、流暢な鍛冶屋の弁舌を聴かされると、ザポロージェ人たちは鍛冶屋にとつて大変有利な解釈を下した。
「ぢやあ、又あとでゆつくり話さうのう、同胞《きやうだい》。わしたちは、これから女帝陛下に拝謁のため参内するところぢやから。」
「女帝陛下に拝謁ですつて? それぢやあ、後生ですから、私もいつしよに伴れて行つて下さいませんか!」
「なに、お前を?」と、ちやうど、ほんものの大きな馬に乗せよと言つて駄々をこねる、四つぐらゐの子供でも賺《すか》しなだめる小父さんといつた調子で、ザポロージェ人が答へた。「お前が宮中へなど参内してどうしようといふのぢや? いかん、駄目なことぢやよ。」かう言つた時、彼の顔にはさ
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